東京都の主な調査目的は、野生ヤギ被害状況と避難港建設の適地確認。魚釣島に上陸できず、小型船とラバーボートで近づき
洋上から調査。写真は小型船で北側斜面を調査している光景。ヤギ食害で、緑に覆われていた斜面の緑は消え、裸地化・地滑りが
起き、崩落している。海岸も植生が破壊され、隆起サンゴ礁の岩盤がむき出しになっている。(東京都 2012)
急峻な南側斜面は崩落が著しい。ヤギが斜面の植物を食い尽くすと、
裸地化し、吹き付ける潮風にさらされ、地滑りが次々と起きて、崩落を引き起こす。
崩れ落ちてきた岩礫が累々とした光景。(同上2012)
古賀村前の海岸も被害がひどい。ヤギ導入前は、海浜植生の草木が生い茂り、後方斜面はク
バなどの緑に一面覆われていた。これがご覧の通りの無様な姿に一変した。古賀村を高波高潮から防いでいた
防波堤も崩れ、海岸は岩塊がゴロゴロと散らばっている。右側に城壁のように見えるのは、鰹工場跡の石積みである。(同上2012)
ヤギが持ち込まれたのは1978年、2012年で32年、ヤギは殖え
に殖えつづけ、島の植生、草木を食って、食い尽くしている。
母岩が露出した斜面に姿を見せたヤギの親子。(同上2012)
植生破壊、裸地化、地滑り・崩壊が進行
政府は上陸調査を許可し、早めに、ヤギ被害対策を
1979年(被害前)と2012年の比較
1979年の未だヤギの食害を受けていない島の南西端の自然景観。ヤギは前年に北側で放
たれているが、ここ南西端までは食い至らず、往昔からの緑に覆われたままである。(新納義馬1979)
調査団の一員で参加した石垣市が撮った2012年の写真。
導入から32年で、殖えに殖えたヤギは、すでに、魚釣島全域が採食行動の範囲に入り、
島全体が食害に見舞われている。この2012年の南西端の写真と上掲1979年のそれと比較し
て見れば、この事実は一目瞭然である。政府は上陸調査を許可し、ヤギ被害対策を講じるべきである。
(石垣市2012)